1: 2015/12/29(火) 10:36:20.48 _USER.net
http://ascii.jp/elem/000/001/097/1097764/
いつか音楽について書こうと思っていたのだが、なかなか考えがまとまらず、と言うか、
どこから手をつければいいのか見当がつかず、常に気になりながらもほかのネタを書くことで音楽の話題
に触れることをできるだけ回避してきた。
ところが担当編集者から「なぜ音楽はこれほどまでに無料が当たり前になってしまったんですかね?」
という問い掛けがあり、いよいよ書こうと思うにいたったわけである。
まぁ、音楽を嫌いという人はほとんどいないと思うけれども、筆者も若い頃からかなり幅広いジャンルの
音楽は雑多に聴き込んできた自負があり、一時期DJの真似事もしていたこともあった。
相当量のCDとアナログレコードも所有していた。ところが、数年前からなんとなくモノに囲まれた生活が息苦しくなり、
徐々にCDを処分し、ついには今年の夏の引っ越しを契機にレコードもすべて売り払ってしまった。
もはや自宅には物体としての音源はない。
これがあくまでも個人的な気分の変化なのか、どこかで時代の空気を反映したものなのかはわからない。
しかし、別に音楽がうとましくなったわけではないし、仕事をするときにはYouTubeでいつもなにかしらの
音楽を聴いているわけで、ことさら「音楽のない生活」を目指しているわけでもない。
ただ、もう物体としての音源を所有したいとは思わないのだ。結果として、音楽だけをじっくり鑑賞するという
時間は確かに減った。おそらく、自分のライフスタイルの中における音楽の役割や価値が変容してしまったのだろう。
“購入した音楽を聴取する機会の減少”を私的な問題として片付けられないのは、ネット上にいくらでも転がっている
音楽業界の売り上げ不振にまつわるデータを見れば明らかである。CDをはじめとする音楽ソフトの
総売り上げは1998年の約6075億円をピークに下落し続けている。2000年代の中盤から後半にかけて
ダウンロード販売による数字が若干増加したため、一瞬、減少傾向に歯止めがかかったかのように見えたものの、
以降、再び低迷に転じ、2014年にはついに音楽ソフトとダウンロード販売を合わせた総売り上げは
最盛期の半分=3000億円以下にまで凋落している。
したがって「音楽はもうCDではなく楽曲ごとに購入する」という時代もすでに終焉に向かっており
(実際、ダウンロード販売の売り上げも2009年の約910億円を頂点として2014年には約437億円まで下落している)、
もはや音楽ビジネスは底の見えない深淵への降下を続けている。時折「アナログレコードが復権の兆し」
というような記事を見かけたりするけれども、とてもではないが音楽業界全体の不振をカバーするまでには到底いたっていない。
そうなると、最後の頼みの綱は定額配信サービスということになる。現在、国内で展開されている
「Apple Music」「AWA」「LINE MUSIC」「Google Play Music」のほかにも、1年以上(もっとか!?)
「準備中」となっている世界最大手の「Spotify」もいずれは日本上陸を果たすのだろう。
ドイツの「SoundCloud」、さらには「YouTube」までもが定額配信サービスへの参入を目論んでいるというウワサもある。
では、国内における定額配信サービスの状況はどうなのか? ざっとネットを調べても、
各社の明確な契約者数に関する公表データは見当たらない。おそらく数字が出てこないというのは
押して知るべしということだろう。いくら売れなくなったとは言っても「CDがこんなに売れるのは日本くらいなもの」
という意見もあるくらいだから、定額配信サービスが国内で定着するか否かに関しては決して
楽観はできないというのが正直なところ。
ちなみに、Spotifyの全世界におけるユーザー数は約7500万人(有料会員は約2000万人)、
Apple Musicは約1500万人(有料会員は約650万人)と言われている。
しかし、定額配信サービス先進国の米国においてすらアーティストからの報酬に対する懸念や
不満が少なからず表明されており、音楽業界全体が新しいサービスによって活路を見出して万々歳……
というわけではないということは心に留めておくべきだ。
いつか音楽について書こうと思っていたのだが、なかなか考えがまとまらず、と言うか、
どこから手をつければいいのか見当がつかず、常に気になりながらもほかのネタを書くことで音楽の話題
に触れることをできるだけ回避してきた。
ところが担当編集者から「なぜ音楽はこれほどまでに無料が当たり前になってしまったんですかね?」
という問い掛けがあり、いよいよ書こうと思うにいたったわけである。
まぁ、音楽を嫌いという人はほとんどいないと思うけれども、筆者も若い頃からかなり幅広いジャンルの
音楽は雑多に聴き込んできた自負があり、一時期DJの真似事もしていたこともあった。
相当量のCDとアナログレコードも所有していた。ところが、数年前からなんとなくモノに囲まれた生活が息苦しくなり、
徐々にCDを処分し、ついには今年の夏の引っ越しを契機にレコードもすべて売り払ってしまった。
もはや自宅には物体としての音源はない。
これがあくまでも個人的な気分の変化なのか、どこかで時代の空気を反映したものなのかはわからない。
しかし、別に音楽がうとましくなったわけではないし、仕事をするときにはYouTubeでいつもなにかしらの
音楽を聴いているわけで、ことさら「音楽のない生活」を目指しているわけでもない。
ただ、もう物体としての音源を所有したいとは思わないのだ。結果として、音楽だけをじっくり鑑賞するという
時間は確かに減った。おそらく、自分のライフスタイルの中における音楽の役割や価値が変容してしまったのだろう。
“購入した音楽を聴取する機会の減少”を私的な問題として片付けられないのは、ネット上にいくらでも転がっている
音楽業界の売り上げ不振にまつわるデータを見れば明らかである。CDをはじめとする音楽ソフトの
総売り上げは1998年の約6075億円をピークに下落し続けている。2000年代の中盤から後半にかけて
ダウンロード販売による数字が若干増加したため、一瞬、減少傾向に歯止めがかかったかのように見えたものの、
以降、再び低迷に転じ、2014年にはついに音楽ソフトとダウンロード販売を合わせた総売り上げは
最盛期の半分=3000億円以下にまで凋落している。
したがって「音楽はもうCDではなく楽曲ごとに購入する」という時代もすでに終焉に向かっており
(実際、ダウンロード販売の売り上げも2009年の約910億円を頂点として2014年には約437億円まで下落している)、
もはや音楽ビジネスは底の見えない深淵への降下を続けている。時折「アナログレコードが復権の兆し」
というような記事を見かけたりするけれども、とてもではないが音楽業界全体の不振をカバーするまでには到底いたっていない。
そうなると、最後の頼みの綱は定額配信サービスということになる。現在、国内で展開されている
「Apple Music」「AWA」「LINE MUSIC」「Google Play Music」のほかにも、1年以上(もっとか!?)
「準備中」となっている世界最大手の「Spotify」もいずれは日本上陸を果たすのだろう。
ドイツの「SoundCloud」、さらには「YouTube」までもが定額配信サービスへの参入を目論んでいるというウワサもある。
では、国内における定額配信サービスの状況はどうなのか? ざっとネットを調べても、
各社の明確な契約者数に関する公表データは見当たらない。おそらく数字が出てこないというのは
押して知るべしということだろう。いくら売れなくなったとは言っても「CDがこんなに売れるのは日本くらいなもの」
という意見もあるくらいだから、定額配信サービスが国内で定着するか否かに関しては決して
楽観はできないというのが正直なところ。
ちなみに、Spotifyの全世界におけるユーザー数は約7500万人(有料会員は約2000万人)、
Apple Musicは約1500万人(有料会員は約650万人)と言われている。
しかし、定額配信サービス先進国の米国においてすらアーティストからの報酬に対する懸念や
不満が少なからず表明されており、音楽業界全体が新しいサービスによって活路を見出して万々歳……
というわけではないということは心に留めておくべきだ。
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