1: 2016/04/02(土) 22:57:19.18 _USER*?2BP(1932)
秋元康の持論に「ヒット曲に大事なのは田舎の漁港のスピーカーから聞こえるかどうか」というものがある。
筆者がかつて『別冊カドカワ 総力特集 秋元康』の制作を担当していた時に聞いた話だ。
かつて80年代に『ザ・ベストテン』の構成作家をやっていたときに、鹿児島の漁業組合の拡声器のような小さなスピーカーで、音が割れるようなひどい音質で田原俊彦の「NINJIN娘」を聴いた。
その時に「これが歌謡曲なんだ」と思った、という話。

 その後もテレビなどいろいろな場所で語っているので有名なエピソードだと思うのだが、その時に秋元康がいつも“仮想敵”として語るのが低音域なのである。
「スタジオではミュージシャンやディレクターから『このベース、格好いいでしょ』と言われる。
確かにJBLのいいスピーカーで聴いたら『お、いいね』となるけど、あの漁港のスピーカーからは聴こえない。
だから『いいから、一番小さなラジカセを持ってきてくれ』と僕は言うんです」――てな具合に話が続く。

現在も秋元康はこれを一つの信念としている。スタジオで聴き取れるような細かいニュアンスにこだわってもマスには届かない――というのはヒットメーカーとしての一つの態度ではあると思う。

 だが、それを踏まえてAKB関連の楽曲のサウンドを高音質なヘッドホンで聴くと、どの曲においても「不自然なほど低音域がカットされている」ということに気付くはずだ。
最先端のテクノロジーを駆使して田舎の漁村のスピーカーや小さなラジカセをシミュレートしているような、そんな不思議な感触がある。

 おそらく、この「ハルジオンの咲く頃」の制作過程においても、Akira Sunsetと秋元康のあいだで、そういうやり取りが繰り返されたのではないかと推察できる。
曲の構造としてはダンス・ミュージックを採用しながら、そのサウンドに必須の要素である低音域の音圧を思いっきりカットすることで、乃木坂46らしいポップソングに仕上げている。

 そういう意図が突き詰められた一曲が実際にグループ最大のヒット曲となっている、というのもとても興味深い状況だ。

全文はソース先で
リアルサウンド 2016.04.02
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http://realsound.jp/2016/04/post-6957_entry.html

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